「働き方改革」成功企業の最新事例3連発!
皆様、こんにちは。
船井総合研究所 社労士事務所コンサルティンググループ 大住周平でございます。
日々、多くのお客様とお付き合いし、コンサルタントとして船井総合研究所で働いている中、社内外で「働き方改革」という単語を頻繁に耳にします。大手広告代理店の過労死問題が取り沙汰されてから、「働き方改革」に対して世論が高まったように感じられます。しかし、「長時間労動の是正」=「働き方改革」はあまりに短絡的であり、働き方改革は本来、企業成長との両輪で進められなければなりません。
そのような時流の中、2017年9月8日に「全士業合同先進成功事務所視察クリニック」と題し、働き方改革を代表する3企業様に視察を行いました。今回、全国より6士業32事務所51名の先生方にご参加頂いた最新事例からの学びをご共有させていただきます。
1社目は、辻・本郷ITコンサルティング株式会社様(以下、辻・本郷様)です。この度は、代表取締役の渡辺博文様に「辻・本郷グループ オフィス移転の効果と働き方」に関してご講演とオフィス見学をさせていただきました。辻・本郷様の一番特筆すべき点は、「オフィス環境の整備」です。オフィス移転を機会に約一年間の特別プロジェクトを実施し、環境整備を進められました。このプロジェクトでは、出社状況や会議室の利用人数、約半年間の時間帯別オフィス稼働率などを徹底調査し、そのデータを元に新オフィスを設計されました。そして、改革後のオフィス環境は、多くの先進的改革がなされた環境になっております。
以前は、10名以上の応接室・会議室を基本としていましたが、調査の結果、4~6名での活用がメインだったため、新オフィスではサイズダウンした会議室を造設することで稼働率を高めました。そして、フリーアドレスを導入することで、仕事や気分によって仕事環境を柔軟に変えられるようにしています。また、ITのみに頼るのではなく、デジタル化によるペーパーレスと書類活用のハイブリッドで仕事を効率化しています。
このような、辻・本郷様の取り組みの根底にあるのは、「社員にとって一番都合の良い働き方は何か」を常に模索、追求している点です。テレワークの導入やオフィス整備など環境を変えることで「働き方改革」を実施している士業事務所様の最新の成功事例といえるでしょう。
2社目は、サイボウズ株式会社様(以下、サイボウズ様)です。この度は、社長室ビジネスプロデューサーの中村龍太様に「サイボウズの多様な働き方」に関してご講演とオフィス見学をさせていただきました。数多くの独自の取り組みを行っていることで有名で、サイボウズ様が提供しているグループウェア「kintone」は多くの士業事務所で活用されています。
「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」という考え方が有名のサイボウズ様で特徴的な制度が、「副業制度」です。この「副業」に関して、サイボウズ様は、「自分らしさ・個性の発揮」が目的であり、「複数業務で金銭を得る」ためではないという考え方から、「副業」と打ち出し、「複業」と明確に区別しています。そのため、サイボウズ様の「副業」制度では、「誰でも会社許諾が不要」となっています。
リアルオフィスとバーチャルオフィスの出社が選べることや最大6年間の育児休業制度など特徴的な人事制度が目を引きますが、全ての制度の元になっているのは「すでに多様な人材がいる」という前提です。時代の変遷や企業方針の転換に伴い、異なる職種や人材を獲得するのではなく、「すでに」多様な人材は社内にいるのです。その多様性を最大限に発揮するための人事制度をいち早く導入・整備し、トップが制度を積極的に活用することで社内に浸透させたことが多様な働き方と業績アップのポイントであると、サイボウズ様の現場から学ぶ事ができました。
3社目は、弁護士法人 Martial Arts様(以下、Martial Arts様)です。この度は、代表の堀鉄平様に「士業事務所の働き方改革」に関してご講演とオフィス見学をさせていただきました。代表の堀様は弁護士として法人の代表を務めるだけでなく、プロの総合格闘家としても活躍されており事務所のミッションでもある「闘う弁護士」を体現されております。
Martial Arts様で特筆されるものが弁護士法人でありながら、弁護士事務所・コールセンター・トレーニングジム・託児所も運営しており多角経営を行っている点が挙げられます。しかし、この多角経営は決して収益を目的としていません。トレーニングジムは「闘う弁護士」としてのブランディング。そして、託児所は若い女性社員が退職しなくてもMartial Arts様で働けるように設立しました。
このような法人展開の背景には、綿密に作り込まれた「経営ビジョン」「経営ミッション」があります。従業員を「家族」と捉えて、事務所の業績成長とともに「働きやすさ」を本気で追求する。そのために設備投資や採用にもコストを十分に投資し、「闘う弁護士」のブランディング強化も伴い、従業員のモチベーション向上も実現したことで先進事務所になりえたのです。
今回の視察の先進事務所で共通していたのは、企業が主導的にコストを掛けて環境を作り出し、多様な人材が活躍できる場を作り出している点です。時間短縮による生産性の向上でなく、従業員が100%の能力を発揮することが結果として、「新たな商品・機会の創出」「優秀な人材の定着」、ひいては「業績アップ」という形で表れているのです。
先進企業は自社の働き方やモデルを追求することで、それ自体が商品やブランディングになっています。「働き方改革」という言葉にとらわれるのではなく、現場を見ることは多くの気付きや学びを士業事務所の経営者の皆様に与えてくださいます。
今後も、船井総合研究所では多くの先進事例をご紹介させていただきますので、ご期待ください!